分野:西洋美術史、英国文学・文化史

英国美術重要文献復刻シリーズ1 ( Series: Primary Sources on British Art History )

『英国美術家列伝』全6巻+別冊日本語解説
The Lives of the Most Eminent British Painters, Sculptors, and Architect, by Allan Cunningham

監修・解説: 潮江宏三(京都市立芸術大学長)*Kozo Shioe, President of Kyoto City University of Arts

 

2010年12月刊行
B6判 総頁数:約2,175頁(全6巻・図版白黒多数)
価格¥98,000(本体)
ISBN: 978-4-902454-55-0
底本:London: John Murray, 1830-1833


● ジョルジョ・ヴァザーリの著名な『(ルネサンス)美術家列伝』にならい、19世紀前半のスコットランド人著述家アラン・カニンガム(1784-1842)を数年間に亘り執筆した、英国画家・彫刻家・建築家の人物事典。その刊行にはQuarterly Reviewの編集長
ジョン・ギブソン・ロックハートやロバート・サウジーなどが協力した。
● エリザベス期からホルバイン、アントニオ・モア、ルーカス・デ・ヘール、ファンダイク、ピーター・レリー、ゴドフリー・ネラー、ジェイムズ・ソーンヒルら18世紀初頭までのの画家を概説した後、英国で活躍した47名の主要美術家 (詳細下
記目次参照) の生涯と業績を肖像画とともに詳しく紹介。
● ポケットサイズで出版され、ヴィクトリア朝期の英国上・中流家庭で広く愛用された。また、その人気は海を渡り、米国ではハーパー社が3巻の抄録版を刊行している。
● 英国美術を網羅的に扱った本格的なレファレンスとして最初期のもので、今日でも美術史の資料として価値を失っていない。 同時に19世紀英国内での自国美術の評価や人気などの研究にも貴重な文献。
● 美術・芸術系大学図書館や英文学・文化研究の学科に必携。

Allan Cunningham: The Lives of the Most Eminent British Painters, Sculptors,
and Architects(1829-33)の復刻版を推薦する
京都市立芸術大学長 潮江宏三
スコットランド生まれの文人、アラン・カニンガム(Allan Cunningham 1784-1842)のThe Lives of the Most Eminent British Painters, Sculptors, and Architects
(『英国芸術家列伝』)は、標題にLivesの文字があるように、イタリア・ルネサンスの『芸術家列伝』を著した画家、ジョルジョ・ヴァザーリの故事に倣い、書かれたものである。近代的な意味での「美術史」ではない。しかしながら、ヴァザーリの『列伝』が、美術史を含む広汎な意味での文化史研究にとって、同時代および歴史的な証言と考察という点から、未だに新たな解釈と見解を抽出し得る尽きせぬ泉であるように、カニンガムの『列伝』もこれまでその役割を果たしてきた。しかも、この『列伝』が扱っている時代は、「絵画の偉大な世紀」(ゴーント)と名づけられる、英国固有の画派が確立した時代である。まさに、イギリスのヴァザーリと呼ばれる所以である。

このカニンガムの『列伝』でまず注目されるのは、その人選である。それは、今日の美術史的価値評価と同じではない。多少は出身地への贔屓目を含みつつも、アカデミーという権威からだけではなく、ブレイクへの希少な言及など、当時話題となった芸術家が広くその対象となっている。エピソードや証言を通して芸術家の予想外の顔に出会うことができるだけでなく、当時の、むしろ標準的とも言える知識人が、こと芸術に関して、どのような関心の持ち方をしていたのかも感じ取ることができるのである。

学として整理される前の、このようなジャーナリスティックな内容こそが、『列伝』のおもしろさであり、新たな解釈構築の種となるものであろう。時代は、英国がまさにヨーロッパの、そして世界のリーダーとなろうとしている時代のことでもあり、その意味においては、美術史や文化史の研究者はもちろんのこと、文学や社会史・社会思想の研究者にとっても、是非とも一読に値する原典として本書を推薦するものである。

Contents
Volume 1: (2nd ed. 1830, c.362pp + 10 b/w plates)
The Early Painters
William Hogarth
Richard Wilson
Sir Joshua Reynolds
Thomas Gainsborough

Volume 2: (2nd ed. 1830, c.353pp + 7 b/w plates)
Benjamin West
James Barry
William Blake
John Opie
George Morland
Edward Bird
Henry Fuseli

Volume 3: (1st ed. 1830, c.371pp + 9 b/w plates)
Grinling Gibbons
Caius Gabriel Cibber
Louis Francis Roubiliac
Joseph Wilton
Thomas Banks
Joseph Nollekins
John Bacon
Anne Damer
John Flaxman

Volume 4: (1st ed. 1831, c.356pp + 8 b/w plates)
William of Wykeham
Inigo Jones
Sir Christopher Wren
Sir John Vanbrugh
James Gibbs
William Kent
Earl of Burlington
Sir William Chambers

Volume 5: (1st ed. 1833, c.315pp + 4 b/w plates)
George Jameson
Allan Ramsay
George Romney
Alexander Runciman
John Singleton Copley
John Hamilton Mortimer
Sir Henry Raeburn
John Hoppner
William Owen
George Henry Harlow
Richard Parkes Bonington
Volume 6: (1st ed. 1833, c.334pp + 4 b/w plates)
Richard Cosway
David Allan
James Northcote
Sir George Howland Beaumont
Sir Thomas Lawrence
John Jackson
Henry Liverseege
James Burnet



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