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分野:比較文学・英訳日本文学、比較文化・日英交流、南方熊楠研究

F. V. ディキンズ書簡英文翻刻・邦訳集
ーアーネスト・サトウ、南方熊楠(他)宛ー
編集・解説:岩上はる子(滋賀大学) & ピーター・コーニッキ(ケンブリッジ大学)

F. V. Dickins' Letters to Ernest M. Satow, Kumagusu Minakata and others,
A Collection of Transcriptions and Japanese Translations
Edited and annotated by Haruko Iwakami, Shiga University & Peter F. Kornicki,
Cambridge University
(Series: コレクション・ジャパノロジスト / Collected Works of Japanologists)

4-86166-144-0

2011年7月刊行 / 総頁数:約400頁 / 判型:B5判(上製)
価格:¥24,800(本体)/ISBN: 978-4-86166-144-0


●日本文学英訳の先駆者F.V.ディキンズのアーネスト・サトウや南方熊楠宛書簡の初の公刊。 ●英文の翻刻とともに全文邦訳、注釈、索引(英和)入り。 ●日本文学の英訳史、日英交流史等、比較文学・文化研究のための幅広い史料として利用可能。

幕末・維新期に来日したディキンズは、英国海軍医や弁護士として居留地で働くかたわ ら日本文化への造詣を深め、日本語、日本民族の起源やアイヌ民族に関する論文をネイ チャー誌など英国学術誌に発表します。 また、日本文学の英訳にも取り組み、初の本 格的英訳とされる『百人一首』を出版(1866年)、その後、『竹取物語』、『忠臣蔵』 など日本文学の海外への紹介に先駆的な役割を果たし、晩年まで続けた日本文学研究は 、後年の日本研究者にも大きな影響を与えた『古代中世日本文学テキスト』(全2巻) (1906年)に結実します。 このように、海外の日本文学研究に大きな足跡を残したデ ィキンズは、この時代の多くのジャパノロジストや日本人学者と交流し自らの学識を深 めてゆきました。 なかでも滞日中の日本理解の大きな手助けとなり、その交流は死の 直前まで続いたアーネスト・サトウ、そして帰国後ロンドンで知り合い、その協力のも と『方丈記』を英訳した南方熊楠の存在はディキンズの日本研究に極めて大きなもので した。 本書簡集は、英国国立公文書館(The National Archives)に保管されるディキンズのサ トウ宛書簡と、南方熊楠顕彰館所蔵の南方宛書簡全点の英文翻刻とその全文邦訳です。 またディキンズが伝記を執筆した英国駐日公使ハリー・パークス宛のディキンズ書簡 (ジャーディン・マセソン商会文書=Jardine Matheson Archives所蔵)や、ロンドン ・タイムズ紙へ投稿した記事なども邦訳とともに付録いたします。 編者による解説、 注釈が加えられています。 明治期の日英交流史、日本文学の英訳史など比較文化・文 学研究に大変貴重な一次史料です。

◆目次/Contents◆
1. 凡例 / Editorial Notes
2. Introduction by Peter F. Kornicki
3. 和文序文 岩上はる子
4. F. V. Dickins' Letters to Ernaest M. Satow, 1904-1920, transcribed and anno tated by Peter F. Kornicki : 72 letters to Ernest Mason Satow in The National Archives in London ( May 31, 1904 to December 8, 1920)
5. サトウ宛ディキンズ書簡邦訳 岩上はる子(訳): イギリス公文書館所蔵 May 31, 1904 to December 8, 1920 (72通)
6. F. V. Dickins' Letters to Kumagusu Minakata, 1896-1912, transcribed and ann otated by Haruko Iwakami : 46 letters to Kumagusu Minakata in the Minakata Kum agusu Archives in Tanabe, Wakayama Prefecture(March 24, 1896 to July 9, 1912 )& 2 letters in the Minakata Kumagusu Memorial Hall (January 21, 1898 and Jun e 4, 1904)
7. 南方熊楠宛ディキンズ書簡邦訳 岩上はる子(訳・注): 南方熊楠顕彰館所蔵(南方熊楠来簡:March 24, 1896 to July 9, 1912)( 46通)及び 南方熊楠記念館所蔵(南方熊楠来簡:1898年1月21日、1904年6月4日)(2通)
8. Miscellaneous Letters from F. V. Dickins (to Sir Harry Parkes etc.), transc ribed and annotated by Peter F. Kornicki : 6 letters to Sir Harry Parkes and others in the Jardine Matheson Archives at the University Library, Cambridge&5 letters published in The Times between 28 February 1880 and 10 May 19049. その他のディキンズ書簡邦訳 岩上はる子(訳): ジャーディン・マセソン商会文書(ケンブリッジ大学図書館所蔵) (6通) & The Times 投稿記事(February 28, 1880 to May 10, 1904)(5通)10. 索引 / Index

編者のことば       岩上はる子
日本研究の草分けのひとりF.V.ディキンズの書簡が初刊行される。先のディキンズ全集(全7巻)につづく本書簡集の刊行によって、ディキンズ研究の基礎資料が整備され、これまで必ずしも明らかではなかったディキンズの人間像も見えてくることだろう。
横浜居留地で出会って以来、ほぼ半世紀にわたって続いたアーネスト・サトウとの交友。彼らはおびただしい数の書簡を交わしていた。サトウのディキンズ宛書簡165通(1877〜1918)に対し、ディキンズのサトウ宛書簡は1904年以降の72通が残存する。そこには日露戦争前後の極東情勢から第一次世界大戦にいたるヨーロッパ情勢、イギリス国内の政治経済問題、ヨーロッパの歴史と文明論、日本関連書籍の批評など、縦横無尽な話題が繰り広げられている。
南方熊楠との交流は、ディキンズが目黒大仏について尋ねた手紙(1896.3.24)に始まる。熊楠の帰国後も続いた文通は42通(1896-1912)が残存し、その話題の大半が、後にディキンズの代表作となる『古代中世日本文学』に関する質問であり、ディキンズの日本研究において熊楠がいかに大きな貢献をしていたかを物語っている。
晩年には、「日本の魅力に囚われ人生を棒にふった」(1908.3.18)とまで語っているディキンズだが、サトウあるいは熊楠にあてた書簡群は、ディキンズが日本に対してアンビバレントな感情を抱きながらも、生涯、日本にこだわり続けたことを示しているのである。

コレクション・ジャパノロジスト シリーズ既刊書案内
第1回 『アストン著作集 全6巻』 Collected Works of W. G. Aston(品切)
第2回 『アーネスト・サトウ著作集第1期:著作書籍集成 全12巻』 Collected Works of E. M. Satow Part 1(品切)
第3回 『F.V.ディキンズ全集 全7巻』 Collected Works of Frederick Victor Dickins(品切)
第4回 『B. H. チェンバレン著作集 全8巻』 Collected Works of Basil Hall Chamberlain(品切)
第5回 『アーネスト・サトウ著作集第2期:新聞記事・雑誌論文集成 全5巻+別冊』 Collected Works of E.M.Satow Pt. 2 (残部僅少)
[解説] 吉良芳恵(日本女子大学教授)
2001年刊 全約2,100頁+日本語付録約50頁 \116,000 (本体セット価) ISBN:978-4-931444-09-6
第6回 『翻刻版アーネスト・サトウ日本日記: 駐日公使時代1895-1900 全1巻』 The Diaries of Sir Ernest Satow, British Minister in Tokyo (1895-1900): A Diplomat Returns to Japan (残部僅少)
[編・注] Ian Ruxton,(九州工業大学)
2003年刊 約540頁 \29,800(本体価) ISBN 4-901481-06-1
第7回 『ヘンリー・ダイアー著作集成 全5巻+別冊』 Collected Writings of Henry Dyer
[編・解説] 三好信浩(広島大学名誉教授)
2005年刊 全約2,100頁 ¥118,000(本体セット価) ISBN:978-4-901481-83-0
第8回 『パーシヴァル・ローエル著作および書簡集 全5巻+別冊』 Percival Lowell - Collected Writings on Japan and Asia, including Letters to Amy Lowell and Lafcadio Hearn
[編・解説] David Strauss, Emeritus Professor of History, Kalamazoo College
別冊付録:小泉凡(島根女子短期大学)著「パーシヴァル・ローエルのラフカディオハーン宛書簡に関する考察および邦訳」
2006年刊 全約1,650 pp ¥98,000(本体セット価) ISBN: 978-4-901481-48-9
第9回 『フェノロサ英文著作集 全3巻+別冊』 Ernest Francisco Fenollosa: Published Writings in English[編・解説] 山口靜一(埼玉大学名誉教授)
2009年刊 全約1,270頁 \78,000(本体セット価) ISBN: 978-4-86166-112-9