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分野:女性史、科学史、児童教育史、ヴィクトリア文化研究

ヴィクトリア期の女性と科学 −19世紀英国文献集成− 全7巻
(19世紀ポピュラー・サイエンス復刻シリーズ 第2回配本)
Science Written by Women
編集・序文: Bernard Lightman
Series: Popular Science in the Nineteenth Century
Series Editor: Bernard Lightman, York University, Canada
Consulting Editors: Aileen Fyfe, National University of Ireland, Galway,
James A. Secord, University of Cambridge,
Anne Secord, University of Cambridge

2004年2月刊行
c2600pp
本体セット価 \148,000-
ISBN 4-901481-90-8

●19世紀の英国人女性科学者や著述家による
一般・子供向け科学書を集成

●今日手に入れることの極めて難しい文献

●ヴィクトリア朝期の女性や大衆文化研究に

●各巻毎の解説入り

英国ケンブリッジ大学を中心に始まっている、19世紀ポピュラー・サイエンス史研究への参加者が中心となり編集されている、初期文献集成シリーズの第2回配本です。第1回配本ではヴィクトリア期の子供と科学を対象とした文献を復刻、紹介しましたが、今回は女性による科学書を集め、この時代の科学の大衆化に果たした女性の役割を探求します。ファラデーが貧しい製本工だった頃に手にしたマーセット夫人の『化学談義』を学び科学の道を選んだことはよく知られていますが、このようにこれら女性科学者の著作は同時代の科学の普及や啓蒙に大きな影響をあたえました。しかし、彼女たちはその後科学史のなかから消し去られ、その著書はヴィクトリア期に大量に頒布されたにもかかわらず、今日では欧米でもごくわずかの図書館、大学にしか保存されていません。今回の復刻では、この時代の6名の女性科学者の著作12点を、カラー含む多数のイラストとともに完全に再現します。また、全体の概説序文とともに、各巻に収録する著者への解説が付されています。

今までほとんど手がけられてこなかった19世紀の女性と科学の諸問題そしてヴィクトリア期の大衆文化研究の一次資料として、今後の研究に広くご利用いただけます。

■内容明細■

第1 & 2巻 序文:Bernard Lightman 解説: Aileen Fyfe

Jane Marcet
Conversations on Chemistry, 2 vols. (London: Longman, Hurst, Rees, & Orme, 1806)
c350pp / c300pp (11 plates)

●政治経済や英語教育なども含め、各種の教科書や入門書を残したマーセット夫人(Jane Marcet 1769-1858)の『化学談義』。女性が著した始めての化学書とされる。裕福な銀行家の家庭に生まれた著者は、男女の差なく家庭教師から兄弟達と同じ教育を受け、それは音楽や絵画といった学科から哲学や数学、天文学などの自然科学に及んだ。
スイス人の医者との結婚後、夫の研究や実験を助ける傍ら自身化学への関心を募らせ、本書の執筆に取り組んだ。女性教師と二人の女生徒の間の会話のスタイルで、ラヴォワジエ、デイヴィーらの新発見を解説。子供だけでなく、大人の間でも人気を博し、19世紀前半の最大の科学ベスト・セラーとなる。フランス語訳やアメリカ版も大成功し、特に後者は瞬くうちに16版まで重ね、当時としては異例の16万部を売ったといわれている。製本工だったファラデーが本書を参考に一人で化学実験を始めたことでも著名。

第3巻 解説:Donald L. Opitz

Mary Roberts
Conchologist's Companion (London: G. & W. B. Whittaker, 1824)
c263pp (+frontispiece)

●カラー図版を含む本書はヴィクトリア期に一般家庭に普及した美しい博物学書の典型ともいえる。メアリー・ロバーツ(Mary Roberts 1788-1864)はグロスターシャーのクウェーカー教徒に家庭に生まれ、"Wonders of the Vegetable Kingdom" "Select Female Biography" "A Calendar of Nature"など数多くの若者向けの著作を残している。最近では進化論に関する多くの著作で日本でも人気の高いスティーブン・ジェイ・グールドが、その著作"The Invisible Woman"の中でメアリー・ロバーツと本書を広く紹介したが、それまではほとんど忘れ去られていた女性生物学者。創造説に則っている著者は、啓蒙思想期とダーウィンの狭間であるこの時代に特徴的な宗教的イマジネーションとともに生物を語る。

第4巻 解説:James A. Secord

Rosina Maria Zornlin
The World of Waters; Or, Recreations in Hydrology (London: John W. Parker, 1843), c351pp (12 plates)

Rosina Maria Zornlin
What is a Voltaic Battery? (London: John W. Parker, 1842)

Rosina Maria Zornlin
'Observations of Shooting Stars on the Nights of the 10th and 11th of August, 1839'
(London, Edinburgh and Dublin Philosophical Magazine, vol. 15, 3d ser., Dec. 1839), 2pp

Rosina Maria Zornlin
'On the Periodic Shooting Stars, and on Shooting Stars in General'
(London, Edinburgh and Dublin Philosophical Magazine, vol. 19, 3d ser., Nov. 1841), 11pp

●地学や天文学に関する著作や学会誌での様々な発表を残している、ゾーンリンの主著と雑誌論文を1巻に合本。

第5巻 解説:Bernard Lightman

Mary and Elizabeth Kirby
Things in the Forest (London: T. Nelson and Sons, 1861), c138pp (2 plates)

Mary and Elizabeth Kirby
Sketches of Insect Life (London: Religious Tract Society, [1874]), c134pp

Mary and Elizabeth Kirby
Aunt Martha's Corner Cupboard: A Story for Little Boys and Girls
(London: T. Nelson and Sons, 1875), 175pp (includes colour & b/w illustrations)

●メアリー(1817−1893)、エリザベス・カービー(1823−1973)は姉妹で多くの子供向け植物、生物入門書を残した。妹エリザベスの死後Athenaeum誌は 'Her literary talents were at all times exercised for the good, intellectual and moral, of her readers'と追悼の言葉を贈った。

第6巻 解説:Bernard Lightman

Agnes Giberne
Sun, Moon and Stars (London: Seeley & Co., 1880), c336pp (16 plates-8 colour)

●140冊以上の児童書を著したアグネス・ギバーンは天文学研究者でもあり、本書はカラー図版を含む天体への入門書。

第7巻 解説:Barbara Gates

Eliza Brightwen
Wild Nature Won by Kindness (London: T. Fisher Unwin, 1890)
c220pp, (ill, 4 plates)

Eliza Brightwen
More About Wild Nature (London: T. Fisher Unwin, 1892)
c277pp, (ill, 2 plates)

●スコットランドの宝石商の娘エリザ・ブライトエン(Eliza Brightwen 1830-1906)
は、銀行家と結婚後病気療養のためミドルセックスに広大な敷地を持つ屋敷The Grove Houseで生活を始める。以前より動植物への関心の強かった彼女は、森や湖に囲まれたこの土地で自然に親しみ、ナチュラリストとしての才能を開花させる。多くの動植物画が挿入されたその著作は当時の一般大衆に広く愛好された。本書は主著'Wild Nature'とその続編。

■シリーズ既刊■

19世紀ポピュラー・サイエンス復刻シリーズ 第1回配本

子供のための科学読本 -19世紀英国文献集成- 全7巻
Science for Children- Popular Science in the Nineteenth Century -

編集・序文:Aileen Fyfe, National University of Ireland, Galway
各巻解説:Aileen Fyfe, Barbara Gates, University of Delaware, James A. Secord,
University of Cambridge & Suzanne Sheffield, Dalhousie University

2003年2月刊行  c3057pp(図版多数入り)
本体セット価 \138,000-  ISBN: 4-901481-64-9

●手に入れることの非常に困難だった19世紀英国の児童向け科学書のコレクション
●図版多数
●各書の詳説入り
●ヴィクトリア朝研究、児童文学・教育研究に

児童教育の進んだ19世紀の英国では、科学教育への関心も教育者、宗教者のあいだで高まり、それに応える出版界は数多くの子供むけ科学入門書や読物を世に送り出しました。これらは、児童教育史研究だけでなく児童文学や19世紀英国のさまざまな側面を知るためにも非常に興味深い資料ですが、いままで系統的に集められたりリプリントされることもなく、日本の研究者にとってもほとんど目にすることのなかった文献類です。

今回のセットは、当時一般にも名前の知られるようになっていたサイエンス・ライターによる科学書から、科学教育の一翼を担ったSPCKのようなキリスト教普及団体による出版物まで幅広く目を配り、計7タイトルを集成します。このなかにはバックリーのThe Fairy-Land of Scienceのように「図解理科仙郷」として明治期に翻訳され、日本でのポピュラア・サイエンス書の先駆けの一つとなったものも含まれています。図版も数多く含み、19世紀の英国を肌で感じさせてくれる出版です。全体の構成を解説する序文に加え、各書の解題が各巻に書き下ろされます。

■内容明細■

第1 & 2 巻 [486pp & 463pp]
シリーズ序:Bernard Lightman (4pp)
序文:Aileen Fyfe [10pp]  解説:Aileen Fyfe [5pp]

[John Aikin and Anna Barbauld]
Evenings at Home (London: J. Johnson, 1792‐6), 6 vols. bound as 2


著者はユニテリアン派に属した兄妹。150頁前後の小冊子で6回にわたり刊行され、家庭で楽しみながら学ぶ科学を意図している。18世紀末から19世紀初頭にはやった'instructive and amusing'なスタイルの典型的出版物。

第3巻 [401pp] (図版20)  解説:James A. Secord [5pp]

Rev. T. Wilson (ed.) [Samuel Clark]
Peter Parley's Wonders of the Earth, Sky and Sea (1837)


地球のなぞを多くの図版とともに解き明かす。

第4巻 [336pp] (イラスト多数)  解説:Aileen Fyfe [10pp]

[Charles Williams]
Wonders of the Waters (1842)

[Sarah Windsor Tomlinson]
First Steps in General Knowledge. Part 1. The Starry Heavens (1846)


19世紀の児童教育に先駆的役割をはたした、キリスト教2団体の科学入門。特に、1830年以降これらの団体は科学をはじめ近代的なテーマのキリスト教子弟への教育に苦心し、また力を注いだ。

第5巻 [597pp](図版35)  解説:Suzanne Sheffield [5pp]

Margaret Gatty
Parables of Nature, with a Memoir of the author by J. H. Ewing (1880)


「自然の教え」と題された本書で、著者は自然の驚異は神の創造がなせるものであると説いている。

第6巻 [476pp] (イラスト多数)  解説:James A. Secord [5pp]

John Henry Pepper
The Boy's Playbook of Science (1860)


少年向けに家庭でゲーム感覚での科学の学習を意図した理科絵本。

第7巻 [298pp] (図版3)  解説:T. Gates [5pp]

Arabella B. Buckley
The Fairy-Land of Science (1879)


20世紀にはいっても版を重ねたビクトリア朝時代を代表する科学入門書。1887年に山縣悌三郎による邦訳「図解理科仙郷」が10分冊で出版され、日本における科学啓蒙書の嚆矢となった。