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対象:人文系図書館、比較文学・文化学、文化人類学、日本研究、英米文学、ネイチャー・ライティング
◎復刻集成版◎(アジア旅行記全集シリーズ第2回配本)
ウオルター・ウェストン著作集 全4巻

Collected Travel Writings of Walter Weston
With an introduction by Hamish Ion, Royal Military College of Canada
  1999年3月刊
¥88,000 (本体セット価格)
ISBN: 4-931444-11-3
「近代登山の父」として知られるウェストンは1888年(明治21年)に英国国教会の宣教師として来日、その後3回のべ13年間の滞日中、布教活動の傍ら日本国内をはじめ広く登山、旅行しました。日本の風土、生活、風俗、習慣へ強い関心を抱いたウェストンは、著書や講演活動によって当時の日本を海外に紹介し続けました。本全集はそれらの著書の初版を復刻すると同時に、雑誌に掲載された記事、論文等も合わせて収録ています。ウェストンは1996年に開催された「ウェストンの見た明治・大正の日本」展でも関心を集め、またその紀行文はネイチャー・ライティングの先駆として文学的に再評価され、研究も始められています。日本研究、文化人類学の基礎資料としてだけでなく、現代文学研究者の方々へも本書をお薦めいたします。

 

内容明細
第1巻:Introduction by Hamish Ion, Royal Military College of Canada
Mountaineering and Exploration in the Japanese Alps, 1896年刊初版 438頁
第2巻:The Playground of the Far East, 1918年刊初版 348頁
第3巻:A Wayfarer in Unfamiliar Japan, 1925年刊初版 272頁
第4巻:Japan, 1926年刊初版 286頁   

 

推薦文
日本研究者としてのウォルター・ウェストンの位置
日本山書の会代表 水野 勉


   ウォルター・ウェストンは日本の近代登山の父として有名であり、毎年6月には上高地にある彼の碑の前において、ウェストン祭が開かれている。更に、最近では彼ゆかりの日本各地で、ウェストン祭が開かれている。しかし、ウェストンは、すぐれた登山家であるばかりでなく、熱心な日本研究者であった。最初の著書が『日本アルプスの登山と探検』と題されているけれども、その主なテーマは明らかに日本研究である。彼の場合、サトウやチェンバレンなどと違って、日本の全体像の把握というよりは、古い良き時代の日本の文化が研究の対象であった。そして、そのような良い文化が日本の田舎に残っており、田舎の人々の生活こそ、真の日本人の生活だと考えていた。これは彼が登山する際に多くの山村を訪れたことによるのかもしれないが、近代文明が人間社会の良き生活習慣を滅ぼしているという、明治時代の来日外国人の一部に共通した考え方であろう。ウェストンは都市ではなく、特に山村を観察の対象としたのである。もちろん、彼はキリスト教の宣教師であったから、横浜や神戸のことも文章として書いているが、著書の中では殆どふれていない。彼が愛したのは日本の田舎とそこに住む素朴な人々であった。彼の四冊の著書のうち、‘Mountaineering and exploration in the Japanese Alps’‘The Playground of the Far East’, ‘A Wayfarer in Unfamiliar Japan’の三冊は邦訳されているが、いずれも、彼が愛した古き良き日本の生活と人々の姿が描かれている。最後に発行された‘Japan’は表題どおり日本の紹介書であり、日本の全体像を描こうとしているが、主体は古い日本である。この四冊の著書を通じて、今は失われた古い日本人の生活を、多くの日本人の著書よりもはっきりと知ることができるのである。