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分野:アイルランド史、英国思想・政治・宗教史、ヨーロッパ18世紀啓蒙思想史

アイルランドのカトリック問題
1762-1829 全8巻
The Catholic Questions Debate in Ireland 1762-1829
編集:Nick Lee, University of Bristol

2000年5月刊行
品切れ
ISBN: 4-931444-40-7

1801年の併合法成立前後にアイルランド、英国で出版されたカトリック問題に関する文献(書籍、パンフレット)13点の資料集成です。

1801年のアイルランド併合時、時の英国首相ピットは17世紀から続くカトリック刑罰法からのカトリック教徒の解放を約束しましたが、これは王の拒否により実現しませんでした。その後ダニエル・オコンネルらの民衆運動により、1829年4月にカトリック解放令はやっと成立にいたります。

本資料集は1756年に設立されたカトリック委員会の活動から1793年のグラタン議会によるカトリック救済法の可決、1805年の'Humble Petition'、 1811年の短命に終わった'Catholic Convention'、 1823年オコンネルによるカトリック教会の設立、1824年から25年にかけての議会によるアイルランド調査と、アイルランド・カトリック研究に最も重要な60年強の時代を文献でたどります。
本書の特色
● 現在のアイルランド問題の原点となったアイルランド・英国史上最重要期の資料
● 18-19世紀ヨーロッパ政治、宗教史研究にも不可欠なテーマ
● 入手の極めて難しいパンフレット、議会調査報告を中心に集成


■収録文献
Vol. 1
Introduction by Nick Lee, 10pp
Henry Brooke
The Trial of the Cause of the Roman Catholics, Dublin 1762, 310pp
異教徒刑罰法の緩和を求めるアイルランド・カトリック教徒の主張を擁護する最初の出版物。
著名な詩人であり作家であるブルック(c.1703-83)は、その著作Farmer's Letters to the Protestants of Ireland (1745) やThe Spirit of the Party (1754)の中では、当初反カトリックの立場をとっていましたが、本書ではチャールズ・オコーナーとジョン・カーリーが指導するカトリック政治結社の思想を代弁しています。

Vol. 2
A Full and Accurate Report of the Debates in the Parliament of Ireland, in the Session 1793; on the Bill for Relief of His Majesty's Catholic Subjects, 1793, 423pp
カトリック解放運動のなか、カトリックに対する差別政策緩和と部分的に選挙権を認める機運が高まりました。本書は、カトリック解放法案に関する1793年議会での討論の詳細な記述で、その議論は、市民権の拡大 を余儀なくされつつある特権階級の不安を鮮やかに再現しています。

Vol. 3
The Humble Petition of the Roman Catholics of Ireland to the Parliament of the United Kingdom of Great Britain and Ireland, London 1805, 27pp
1805年のカトリック請願書。

Impartial Detail of the Proceedings and Debates in Both Houses of the Imperial Parliament of the United Kingdom in the Session of 1805 upon the Catholic Petition, London 1805, 390pp
カトリック請願は、連合後初めて英国議会においてカトリック解放が検討された時に起こったものでした。 請願書はグラタンやダニエル・オコンネルのサポートも得て格調高いものでしたが、議会の大半は承認に否定的でした。

Vol. 4
Henry Grattan
The Speech of Mr. Grattan in the House of Commons on the Catholic Question, London 1805, 69pp
グラタン(1746-1820)が連合後の英国議会で初めて行ったカトリック請願を支援する演説。

Theobald M'Kenna
A Memoir on Some Questions respecting the Projected Union of Great Britain and Ireland, London 1799, 69pp
Thoughts on the Civil Condition and Relations of the Roman Catholic, Clergy, Religion and People in Ireland, London 1805, 193pp
An Abstract of the Argument on the Catholic Question, London 1805, 37pp
マキーナ (?-1808)は、1791年までダブリンのカトリック委員会のトップでしたが、組織が急進的になると脱退し、政府の意見を代弁する著作を著すようになりました。しかし連合がカトリック解放も議会改革も果た さなかったことに失望しています。今回収録されるのは、連合以前の1つの著作と連合後の2つの著作です。
J. K. L. [James Warren Doyle]

A Vindication of the Religions and Civil Principles of the Irish Catholics, in a Letter Addressed to His Excellency the Marquis Wellesley
, 2nd Ed., Dublin 1823, 71pp
ドイル (1786-1834) はアイルランドの司教として最初にカトリック協会に加わった人物です。雄弁で説得力 があるその主張は高く評価されて、1825年議会の委員会おけるアイルランド調査にも召喚され、発言してい ます。

Vol. 5
Denys Scully
Statement of the Penal Laws, which Aggrieve the Catholics of Ireland: with Commentaries, Dublin, 1812, 426pp
スカリー(1773-1830)は1805年と1810年のカトリック請願の草稿者と考えられている人物です。当局の取り締まりが厳しさを増してゆくなか、本書の第1部は、1812年12月19日の抗議集会に合わせ匿名 で発刊され、その後の第2部により出版社は名誉毀損罪で収監されます。そこには裁判を政治問題にしようとしたスカリーの試みもありました。

Vol. 6
The Evidence Taken Before the Select Commitment of the House of Lords and Commons Appointed in the Sessions of 1824 and 1825 to Inquire into the State of Ireland, London, 1825, 580pp
1824年と25年議会アイルランド審問会での証言記録。この審問会はカトリック解放の議論の最盛期に実施され、農民の状況、土地保有や宗派の障害、カトリック教会の役割や解放令による効果などが論じられました。証人には新・旧双方の聖職者、カトリックの弁護士、オレンジ党員、教育者、警察官など多方面に渡っています。全ての証言はその言葉どおりに記録されており、カトリック側の意見とともに社会的背景を知る 資料として大変貴重です。


Vol. 7 & 8
Thomas Wyse
Historical Sketch of the Late Catholic Association of Ireland, London, 1829, 444pp/476pp
1825年にカトリック解放問題が再燃した際、カトリック協会において指導的な地位にあったワイズ (1791-1862)の著作。この時代のカトリック協会の政治活動と解放令の成立による1829年の協会廃止までの歴史。