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分野:比較文化、ヨーロッパ・ロマン主義、インド学、大英帝国史、コロニアリズム

インド学のヨーロッパでの受容 全6巻
European Discovery of India
- Key Indological Sources of Romanticism
Key Indological Texts that Shaped European Romanticism
編集及び解説: Michael Franklin, Cardiff University

約2600頁
2001年11月刊行
価格\123,000 (本体)
ISBN:4-931444-57-1

英国の初代インド総督ヘイスティングスは統治の一環としてインド学を奨励し、1784年に設立されたベンガル・アジア協会の会長ウィリアム・ジョーンスとともに「オリエンタル・ルネッサンス」とも呼ばれる18世紀のインド・東洋学を英国・ヨーロッパに広めてゆきました。この時代数多く紹介されたインドの神話、中世文学は、ヨーロッパの文学者たちに東洋への憧憬をかきたて、ロマン主義文学を形作った要素の一つとなりました。特にゲーテ、ヘルダー、ノヴァリスなどドイツ・ロマン派にその影響は顕著です。

本書は、インド学生成期を代表する英語文献のなかから、18世紀ヨーロッパ文学・文化研究の資料として価値の高い著作、翻訳10点を復刻集成するものです。インド学の二人の雄ジョーンズ、コールブルックの著作やシュレーゲルの研究書、ウィルキンス、ウィルソンらのインド文学の英訳を収録いたします。編者による各著作の詳しい解説が書き下ろされます。

本書の特色
● ヨーロッパ・ロマン主義影響を与えたインド学英語著作集
● 初期インド学の稀覯文献
● コロニアリズム/ポスト・コロニアリズム研究にも重要

収録文献明細

Vol. 1: Charles Wilkins- The Bhagvat-Geeta, or Dialogues of Kreeshna and Arjoon (London, 1785)
Charles Wilkins- The Heetopades of Veeshnoo-Sarma in a Series of Connected Fables (Bath, 1787)

Vol. 2: Francis Gladwin (ed.)- The Asiatick Miscellany: consisting of original productions, translations, fugitive pieces, imitations and extracts from curious publications, Vol. 1 (Calcutta, 1785)

Vol.3: Sir William Jones (trans.)- Sacontala; or the Fable Ring: an Indian drama. By Calidas (Calcutta, 1789)
Sir William Jones (trans.)- Gitabovinda (1789)
William Hodges- Travels in India, During the years 1780-83 (London, 1793)

Vol. 4: Carl Wilhelm Friedrich von Schlegel, 'On the Language and Wisdom of the Indians' (1808) from The Aesthetic and Miscellaneous Works of F. von Schlegel. Translated from German by E. J. Millington (London, 1849)
Horace Hayman Wilson (trans.)- The Meghaduta; or, Cloud Messenger; a poem by Kalidasa (London, 1814)

Vol. 5: Horace Hayman Wilson (trans.)- The Vishnu Purana, translated from the original Sanscrit, and illustrated by notes derived chiefly from other Puranas (London 1840) 

Vol.6: Henry Thomas Colebrooke- Essays on the Religion and Philosophy of the Hindus (London, 1837)

初期インド学文献、待望の復刊
澤井義次(天理大学、宗教学・インド学)


 ヨーロッパへのインド紹介に大いに寄与した初期インド学の研究文献は、これまでほとんど入手できなかった。しかし、ここ纏まって復刊されることは、インド宗教思想を研究するもののひとりとして、まことに嬉しいかぎりである。まさに待望の復刊である。
 ヨーロッパにおいて、インド学研究は18世紀に起こった。西洋諸国、とくに英国はインドを統治するために、インドの文化、宗教、思想を理解しようとした。その当時のヨーロッパは、未知の東洋的叡智への憧れに満ちていた。インド学の成立には、こうした西洋の事情があった。インド学の礎石を置いたのは、1784年にベンガル・アジア協会を創設したウィリアム・ジョーンズである。東インド会社の書記チャールズ・ウィルキンスはサンスクリットを学び、1785年、ヒンドゥー教の聖典『バガヴァッド・ギーター』を英訳した。それは、サンスクリット原典が近代の西洋語に直接、翻訳された最初の文献である。その後、インド文化や思想に対する関心によって、ジョーンズやコールブック、シュレーゲルなどによって、インド古典研究が本格化し、今回の復刊企画にリストアップされているインド学研究の諸成果が生み出された。それらがヨーロッパ・ロマン主義にかなり影響を与えたことは、よく知られている。
 このたび復刊される貴重な初期インド学の英語著作は、インド学や宗教学などの研究者ばかりでなく、人類学や言語学、さらにインドの文化・思想・や東西文化交流に関心を持つ人々にも広く推薦したいと思う。